原語だからこそ分かること【ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3D】視聴3度目は英語[Blu-ray] (2015)

2020年8月27日木曜日

[サラウンド 5.1ch 7.1ch ドルビーアトモス] [映像] 3D立体視 [映像] CG [映像] 特撮



【視聴3度目:英語音声・英語字幕】
1度目は吹き替え。
2度目は英語音声、日本語字幕。
3度目は英語音声、英語字幕。

2回繰り返して観て、内容はおおよそ把握しているので鑑賞上の問題はない。
とはいえ音声のみで聞き取るのは難しく、単に記憶に頼るだけの視聴では意味がない。
なので字幕も表示して、目でも確認しながら観た。
以下、気付いた点を幾つか挙げて解説してみたい。

ハリウッド映画なので当然みんな早口で流暢だ。特にロケット・ラクーンは俊敏なアライグマかつ切れ者なキャラだけあって時に非常に早口。



【例えばサノス】
カタカナ表記や声優さんの「サノス」からはどうしても“黒マジックペンで顔に落書きされた黄色い抱き枕人形”を連想してしまう。だが英語字幕で「Thanos」と出されれば「あ~なるほどThanatos(タナトス)に由来する名前なんだね」と即座に理解できた。

黄色い抱き枕人形とは『さよなら絶望放送』というラジオ番組に由来するキャラクター(?)『さのすけ』のこと。



【邦訳では芸術家の名前をスルー】
-キルン刑務所脱獄後、仮の仲間となったメンツが主人公の宇宙船「ミラノ号」に乗り込む場面-

原語:
ガモーラ And Quill, your ship is filthy.
クイル Oh, she has no idea. If I had a black light, the place would look like a Jackson Pollock painting.

字幕:
ガモーラ「クイル あんたの船 不潔よ」
クイル「不潔? ブラックライトで照らしたらアートの世界だよ」

吹替え:
ガモーラ「それとクイル あなたの船 すごく汚い」
クイル「わかってないな これはアートだ」

↑ という訳で字幕も吹き替えも抽象表現主義を代表するアメリカの画家『ジャクソン・ポロック』の名前をスルー。邦訳ではどちらも「アート」の一言で済まされている。

アベンジャーズシリーズ第一作『アイアンマン』この映画にもポロックネタがある。オークションでの価値が非常に高額なことでも有名なポロックの作品を、主人公トニー・スタークが金に飽かせて蒐集しているという、いかにも大富豪らしいエピソードだ。
本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の場合はそれとは違う、かなり際どい意味でネタにされているのだが……それについてはまた次回、語ってみたいと思う。

本作を観てアベンジャーズシリーズやMCUにハマってしまい、次に観たのが『アイアンマン』だった。



【ガモーラとサノスの「父娘関係」にとって重要なワードが!】
-惑星ノーウェアにてピーターとガモーラが互いの親子関係を語るロマンティックな場面-

原語:
ガモーラ
When Thanos took my home world,
he killed my parents in front of me.
He tortured me,
turned me into a weapon.

字幕:
ガモーラ
「奴は私の目の前で両親を殺した」
「そして私を兵器に育て上げた」

吹替え:
ガモーラ
「私の故郷を征服し」
「私の目の前で両親を殺し」
「私を拷問し」
「兵器に変えた男」

↑ 吹き替え版はかなり原語に忠実。しかし字幕では「私の故郷を征服し」「私を拷問し」が省略された。
文字数的に仕方がないのだろう……が、内容的な問題は大いにある。

まず「私の故郷を征服し」の省略によって生じる問題。
これは『ガモーラ』の行動原理に関わってくる。彼女は何故ザンダー星破壊をもくろむ『サノス』『ロナン』を裏切り、彼らを阻止しようとするのか。それは自分と同じような悲劇を繰り返させないためである。
それを理解するために「私の故郷を征服し」は欠かすことのできない一文だといえる。

そして「私を拷問し」の省略。
まず肉体的苦痛によって服従させるという『サノス』の非道さが伝わらない。この一語は彼女の『サノス』への憎しみの度合いについても印象が変わってくる。さらに同じく養女として殺人兵器に育てられた妹『ネビュラ』も同様の境遇だったであろうことにも想像が及ばなくなる。これは映画後半で描かれる姉妹対決の場面での、二人の心理的葛藤を理解するための重要な手掛かりになる。そう考えると、この「私を拷問し」は作品にとって欠かすことのできない一語なのが分かる。



この映画によってマーベルの原作コミックにも興味を持ち、3冊目に購入したのがこの本。
映画版に基づき新しく描かれた3作品は、この映画のファンならばぜひ押さえておきたい。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード (MARVEL)

巻頭に収録の【プレリュード#1】は『ガモーラ』『ネビュラ』の少女時代からの成長を具体的なエピソードを重ねながら描く。その中で形成される二人の確執、『ネビュラ』の機械化や『サノス』の教育方針など、映画だけでは分からない事柄についても扱われている。
↓吸い込まれそうな高低差を立体視で表現した本作の3D屈指の名場面。この短編コミックはこのシーンをテーマにした作品ともいえる。


アダム・ウォーロックが主役という感じの【ストレンジ・テイルズ#181】(1975) はガモーラの初登場回。そのサイケデリックな感触には頭がクラクラするような快感を得た。まさにプログレッシブロックの時代の空気を反映した作風、世界観だ。

原作コミック【ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー】におけるピーター・クイルの少年時代も興味深い。映画版とはストーリーも設定も全く違う。映画では強く興味をそそられる存在でありながら具体的には全く分からなかったピーターの父親が描かれている。期待通りの”親父の野郎”だった。

他に収録された様々な時代の関連作品についてはアマゾンのレビューに詳しい。



【まとめ】
やはり原語に勝るものはない、ということが実感できた視聴3回目だった。
何度も観たい繰り返し楽しめる映画作品は、英語であれば原語での視聴が有用なのが分かった。


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