『ルイスと未来泥棒 (2007)』が劇場公開された際、
2D版は『ミッキーの造船技師(1938)』が、
3D版は『リスのピーナッツ(1953)』デジタル3D版が同時上映されたという。
この『リスのピーナッツ』の3D版というものが気になった。
自分が所有しているレンタル落ち『ルイスと未来泥棒 3D』には未収録。
正規の3D版についても調べてみると、やはり未収録。
『アナと雪の女王 3D』に収録されていた『ミッキーのミニー救出大作戦』のようなわけにはいかないのだろうか?
しかし『リスのピーナッツ』のwikiを読んでみると……宣伝用ブルーレイに収録されているのが分かった!この手の販促品はフリマサイトなどで供給過多のため二束三文で入手できてありがたい。
ディズニー映画の初3D作品は『メロディ』(Adventures in Music : Melody)で『リスのピーナッツ』と同じ1953年の作品。『メロディ』が5月で『リスのピーナッツ』は11月に公開。
内容についての感想
初見はただ展開を追うだけで終了。内容については特に何とも思わなかった。
2度、3度と観て、チップとデールがやっていることが人間の尺度では悪なのだと気付くと面白くなってくる。
偶然すみかに飛んできたピーナッツに味を占め、己の欲望のままに動物園の飼育用のエサをどうにか横取りしようとする行為を繰り返す。彼らにとっては飼育員のドナルドや象は敵だけど、そもそも悪いのは主人公の2匹だ。
この関係性を客観的に捉えて鑑賞すると、チップとデールの飽くなき行為や表情が可笑しくて仕方がない。
どんぐりよりも美味しいピーナッツが動物園に大量にあるのを知った2匹の表情が、
……コレである。この顔を見れば彼らに道徳もへったくれもないのが分かる。
3D映像の評価
ペラペラの2Dアニメを立体的にした作品。画が平面的なため書割を並べたような立体感で、あまり評価できるものじゃないと感じた。
ぶっちゃけ、シリー・シンフォニー・シリーズの『風車小屋のシンフォニー』の冒頭部分の方がよっぽどリアルな立体感を感じる。
6分が限界な強視差
あらゆる場面のあらゆる箇所に視差の強い奥行が段階的に施されているので目の負担が大きい。6~7分程度の短編なのでなんとか耐えられるが、3Dが苦手な人や初心者にはキツイのではないだろうか。
奥行きは段階的に作り込まれているが、手前への飛び出しはそれほどコッチに来ない。
なんだかんだ言いながら、3Dの見所を解説
2匹が寝そべるピーナッツは4つのレイヤーにクッキリと分かれているのが3Dで観ると分かる。
まるでパネルを並べているような感覚が楽しい。
このハートマークは素早く浮かんで画面外に消えてゆく。
この画像からは全く想像できないが様々な奥行と立体感が施されている。
特に象の鼻の先の方がちょっとだけ手前に飛び出ているという細かい設定が面白い。
テクスチャーの全くないベタ塗りの地面には奥行きは存在し得ない。
しかし向こうの方から小っさく見えているキャラがコチラに走ってくる距離感が3Dで表現されているので奥行きを感じられる。この不思議な感覚がシュールで面白い。
これら以外にも「どんぐりを手前から画面の中へ投げる」「ドナルドによるピーナッツのマシンガンの飛び出し」「動物園の檻の立体感」など、短い中に様々な3Dの見所が存在している。
関連記事:『ルイスと未来泥棒 3D (2007)』感想と3D映像の評価 巧妙に仕組まれたサプライズの向こう側
リスのピーナッツ 3Dの感想・レビューのブログ