『チューブラー・ベルズ 2003』マイク・オールドフィールドの奇妙な冒険(後編) [DVD 5.1chサラウンド]

2018年6月17日日曜日

[サラウンド 5.1ch 7.1ch ドルビーアトモス] [音楽] プログレッシヴ・ロック



イントロは異界への入口、エンディングは現実への出口

それがこのアルバムをサラウンドで聴いて得られた結論。
ラストのThe Sailor's Hornpipeは単なるお遊びや蛇足のように思えたものだが、
ぐるぐる周るサラウンド体験によりその考えは根底から覆された。


曲目紹介・解説

Tublar Bells Part 1

01. Introduction
リスナーの背後から虚をつくように始まるリフレイン。
さらに幾つもの旋律があらゆる方向から消えては現れリスナーの周りをぐるぐると回転。
さながら音の走馬燈のようだ。
これから描かれる幻想世界へと至る、一種儀式的な空間に置かれる感じ。

急に世界が開け、魂の故郷への帰還というような旋律。

メインのギターをセンターに、複雑に絡み合う副旋律とアルペジオをリアに配置して横の広がりを演出するミックス。ふんだんにリアから楽器を鳴らすのがこのミックスの特徴

グロッケンシュピールのサラウンド。天上の響きに包まれる束の間の夢心地。
うちのオーディオからこんなに美しい音が……と恍惚のひととき。

02. Fast Guitars
テリー・ライリー風の怒涛のミニマルフレーズから一転してヘヴィーな展開。大仰なフレーズをディストーションギターで弾きまくる様はいかにも70年代初頭のプログレの風情。

03. Basses
 
04. Latin  
夢の中を漂うような曲調。
翳りのあるアコギの美しさもサラウンドならでは。

05. A Minor Tune

06. Blues     
      
07. Thrash

08. Jazz  

09. Ghost Bells

10. Russian

11. Finale
アルバム全体でのクライマックス。
ラベルのボレロのように楽器が重ねられ、盛り上がっていく構成。

これまでの情景描写な世界から一転して目の前に舞台が出現。左奥からMCによって高らかに楽器名が告げられると、順々にユニゾンが演奏されては移動しながら回り込んでいく。

このMCをモンティ・パイソンのジョン・クリーズが担当しており、オリジナルよりも芝居がかっていてショー的雰囲気を盛り上げる。

最後にチューブラーベルズが鳴り響き高みに昇るとステージは消え去り、コーラスが重なると共に夕暮れのような幻想的なイメージになり大円団。



Tublar Bells Part 2

12. Harmonics
穏やかに波のように重ねられていくフレーズ。
ただ流れる音に身を任せていれば良い。

13. Peace 
美しい響きと抒情的メロディーに包まれている時間がひたすら心地良い。

14. Bagpipe Guitars
英国然とした粘り着くような哀愁のメロディー。
イギリス人ならばより深い郷愁に沈んでゆくのだろうと想像。

15. Caveman  
ドラムスとベースの重低音がリアで鳴らされ背後からずんずん迫ってくると、荒野の断崖に立っているようなスリリングな気分にさせられる。

Caveman(原始人)達の咆哮が入ってくる。
この叫び声は、デスヴォイスのようだったオリジナルよりも控えめな感じ。

このアルバムでは唯一ドラムセットが叩かれ、けたたましくギターがかき鳴らされ、ロックらしさが感じられる演奏。ノリが良くキャッチーさもある。
 
16. Ambient Guitars
教会音楽風のオルガンが鳴り響く中、複数のギターが悲しげなスケールのリフを弾きまくるアドリブ風の楽曲。

最後に短いコーダの提示。
このまま感動のラストとしても良さそうな構成なのですが……。

17.The Sailor's Hornpipe
ここが問題(?)のラスト曲。普通に聞いていたらここだけ浮いている気がするけどサラウンドで聴くことにより全く違う解釈に至った。

イントロの時のようにリスナーの周りをぐるぐる回る演奏。
そのまま加速してゆく演奏者たち。
これもまた一種儀式的な空間だと気付いた時はゾッとした。
「このまま演奏が加速し続け演奏が止まった時、現実に戻ってしまう」
という妙にリアルな焦りを感じつつ聴き終えて……

チューブラー・ベルズの世界に見事引き込まれ現実に帰還。

DVD Mike Oldfield ‎– Tubular Bells 2003


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