昨年アマプラで観て大いにハマって大好きな映画になってしまったこの作品。
音楽もその魅力の重要な要素であり、当然のごとくサントラCDをゲットした。
【このCDが欲しかった最大の理由は挿入歌】
なんといっても星ナオミ、宍戸錠が歌う「六三年のダンディ」が最高だ。映画内ではセリフが被ってくるが、CDでは曲全体を鑑賞できるのが嬉しい。この曲のインスト版(ボーカルレス版)も収録されていて、演奏自体の素晴らしさを堪能できる。2拍子がこんなにもノリが良いものだとはこの曲を聴くまで知らなかった。
そしてもう一つの挿入歌「バカとリコウ」これも聴いていてとても楽しい。この映画には欠かせない1曲。
この2曲の音質はあまり良いとは言えない。レトロさが味わい深い音質、という感じだ。
もう1曲、宍戸錠と笹森礼子が同行したクラブでバンドが演奏しているロカビリー・ナンバーは本CDには収録されていない。
もう1曲、宍戸錠と笹森礼子が同行したクラブでバンドが演奏しているロカビリー・ナンバーは本CDには収録されていない。
【たっぷりと収録された高音質のBGMに酔う】
CDの帯には黒地に黄色の太ゴシック体で、
ジャズ!宍戸錠!!
の文字がひときわ目立っている。
タイトル曲は解説書にもある通り『Ray Charles - What'd I Say』的なジャズだが、これがいかにも“宍戸錠”演じるこの映画の主人公のイメージにピッタリだ。それは馬力のある男の姿であり、彼が駆る車の推進力であり、楽天的で飄々とした人間性である。
タイトル曲冒頭のドラムロールにはとことん凄まじい気迫を感じる。
解説書には音楽評論家原田和典氏による、この映画と作曲者伊部晴美氏についての文章が書かれている。
解説書には音楽評論家原田和典氏による、この映画と作曲者伊部晴美氏についての文章が書かれている。
タイトル曲以外のBGMは、ほとんどがムーディーなジャズといったテイストだ。似たようなバリエーションが多いのだが、サックスやフルートがソロを取る場面がどれもこれも素晴らしくて聴き惚れてしまう。抑揚を付けたハモンドオルガンがネオン街のキラキラした印象を醸し出し、ギターの奏でる特徴的で暗く渋い音色は夜の街のひんやりした空気感を漂わせる。
似たような曲が多い中、川地民夫演じる真辺が情婦の部屋を訪ねる場面での、お色気ムードが充満したような曲はいいアクセントになっている。
BGMは全曲とても良い音質で収録されている。録音は1963年1月とのこと。さすがに昔の音源なので各楽器はタイトでこじんまりとした録音だと感じるが、スタジオの自然な空間を感じさせる残響音が心地良くて、そこに幻想味を感じることができる。
本編での音量は割と控えめに、映画に統一感を添えている印象たったが、CDでじっくり鑑賞するとかなり楽しめるサントラである。
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