1度目は小学生の時にリアルタイム視聴。最初のCM時アイキャッチ代わりに流れる「マリンエクスプレス♪」のコーラスにワクワクした。何かスゴイことが始まろうとしている雰囲気に小さなTV画面の前で一人、お祭り気分で盛り上がっていた。
2度目はその約30年後。かつて観た内容はほとんど覚えていなかったのだが、とにかく終盤の構成にひどくガッカリした。列車移動中という環境で進行するサスペンスやアクション、ドラマはかなりの面白さだったのに、残り僅かな時間での無理矢理な話の転換により、これまでの緊張感が台無しになりテーマや目的が失われてしまったことを大いに批判した。
そして現在。100インチの大画面で3度目の視聴。
2002年(!)という近未来を想定したメカ描写、3d視点、深海の船の墓場の風情、海底火山の予想外の噴火やサメの大群etc...ライド型アミューズメントアトラクションの要素を備えたアニメ作品として大画面での視聴を大いに楽しんだ。
やっぱりかなり面白いアニメだと分かった。大事なのは楽しもうとする姿勢である。
改めて観てみれば終盤のタイムスリップにもちゃんと伏線はあるのだし、伴俊作に始まり伴俊作に終わる作りで、シナリオ作法上は案外キチンと作られているのだと認識を改めた。
そしてスターシステムにより多数出演する手塚キャラ。要はお祭り騒ぎである。粗など探さず子供の頃のワクワク感そのままで楽しめば良いのだ。
スターシステムの中、本人として出演しているブラックジャックとピノコ
ストーリー上は最後、ムー帝国に残ったブラックジャックだが、夥しい負傷者の治療を終えた後で現代に戻ったのかどうか気になるところだ。恐らくは何か莫大な報酬と共にピノコの待つ診療所へ帰還したのではないだろうか。
本人役として出演していることこそが、その何よりの根拠だ。ここで戻らなければ「ブラックジャック」本編が続かなくなってしまうからだ。
ピノコの声を冨永みーなが担当。たぶん当時中学生。出番は短いのだが独特の発声による「ピノコらしい」演技はこの時点で確立されている。
壁掛けの大画面液晶TV。2002年であれば現実とほぼ一致。正確な未来予知である。
壁掛けの大画面液晶TV。2002年であれば現実とほぼ一致。正確な未来予知である。
2つの対照的な恋のゆくえ
恋愛要素は中心に据えず、さりげなくストーリーに織り込まれている。
……のだが、意外に心に響くものがある。
2つの対照的な恋。それは「成就する若い恋人たち」と「悲劇的な別離を迎える幼い恋心」である。
特に後者は機械か?人間か?の不確かな揺らぎを伴っており、その実、運命的にも叶うことのない悲恋というのがいかにも手塚らしい。
一方、時間と空間を超えて愛し合う恋人であり強大な敵と共に戦うパートナー、というのもロマンティックな気分を高揚させられる。
人喰いザメに怯えるミリーに対し「僕は怖いってことを知らないんだ……人間じゃないもの……」といいながら随分しょんぼりしているアダム。「怖い」の感情は無いにしても「悲しい」感情はたっぷり有しているらしい。
手塚先生のアレ
一番変態っぽいシーンはヒゲオヤジの胸でミリーが泣きじゃくった後。
「見ろよミリーの涙……こんなにぐしょぐしょにしちまったぜ!」と言いながら服をつまみ上げ指からこぼれる涙をベロリと舐めるヒゲオヤジ。美少女の涙だったらとりあえず舐めちゃうのかよ!と誰もがツッコミたくなる行為だ。
(ただしストーリーの進行上重要なことが分かる場面にはなっている)
ふんどしを装着したロックの尻がぐんぐアップになり迫ってくるシーン。
(因みに戦闘時はサファイヤも同様にふんどしを装着)
手塚治虫 24時間テレビ スペシャルアニメーション Blu-ray BOX 1978-1981
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