SACD 4.0ch『火の鳥 冨田勲 』を聴く。類稀な視覚性に溢れる音楽体験

2019年7月28日日曜日

[サラウンド 5.1ch 7.1ch ドルビーアトモス] [音楽] SACD [音楽] クラシック


火の鳥 Firebird

英国のレーベルDutton Vocalionより2019年に発売されたSACD Hybrid盤。
CD層ステレオ(2ch)とSACD層ステレオ(2ch)、SACD層マルチ(4.0ch)を収録。
SACDマルチは当時LPで発売された4チャンネル・ステレオ(QUADRAPHONIC)を、
オリジナル・アナログ・テープからマスタリング。

本作はシンセサイザー音楽作品として『冨田勲』が1975年に発表した3作目のアルバム。
ピアノ曲を題材とした前2作に続いて、初めて管弦楽用の曲をシンセサイザー音楽化。

このSACDのジャケットは米国盤のデザインが使われている。
国内発売のLPジャケットは手塚治虫によるもの。オリジナルデザインはこちら→火の鳥(紙ジャケット仕様)

SACDによる高音質化の恩恵と当時作られたのサラウンド音響はどれほどのものなのか?
……どちらも予想を遥かに上回る素晴らしいものだった。
SACD最大の魅力である空気感とは無縁である筈のシンセサイザーだが、やはりアナログシンセである。
DSDマスタリングで格段に音がリアルになった。冨田勲が弄り倒しながら聴いていた本物に限りなく近づいたと言えるのではないだろうか。

冨田氏が奏でるシンセは上品で抑制された音色である。
下手をすれば暴れてしまいがちなアナログシンセを上手に手懐けながら多彩な音色を引き出している。
無限の音色が重なり合う色彩感の豊かさ。
サラウンドの表現も緻密で凝りに凝っていて、飽きる暇などない程に音を追いかけるのに夢中になる。
宇宙的であり玩具箱のようでもある360度の音空間から湧き上がる、ロマン派クラシックのメロディーの良さ、ハーモニーの美しさに恍惚とする時、作者がどれ程音楽を愛しているのかが伝わってくる。

光彩を放ち空間を飛び交う音のオブジェ。
光源と陰りが柔らかに波打つ音のヴェール。
下方から眩く照らす音のホリゾント。
これほど視覚性に溢れる音楽体験は他ではなかなかできないだろう。

Tomita - Firebird [SACD Hybrid Multi-channel] Dutton Vocalion Product ID CDSML8558
火の鳥 冨田勲の感想・レビューのブログ


ブログ内検索

海外版おすすめ3Dソフト(国内未発売・日本語未収録)

海外盤・国内盤おすすめ映像ソフト

おすすめ音楽ソフト

QooQ