シン・ゴジラ【ゴジラの存在しない世界線】について

2018年7月22日日曜日

[映像] 特撮

2016年東宝 庵野秀明監督作品



現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)

端的に作品のコンセプトを表す、よくできたキャッチコピーだと思う。
巨大不明生物の来襲に対処する日本政府をリアルに描く作品としてはこの上ない。
ただし、このリアルな世界には怪獣映画としての『ゴジラ』は存在していない。
過去の映画作品に登場した『ゴジラ』がやってきた痕跡もない。

作中、怪獣というワードが聞かれない。
もしかしたら怪獣という概念も一般的ではなさそうな。
大戸島に伝わる海神”呉爾羅”の伝承だけは第1作と共通している。
そんなパラレルワールド。




デモ隊のシュプレヒコールの場面。

字幕では、
「ゴジラを倒せ!」
「ゴジラは神だ!」
「ゴジラを倒せ!」
「ゴジラを守れ!」
の順番で3種類が表示されていて他に、
「ゴジラは使徒だ!」
というのがあって、結局ボツになったという噂。

仮にそれが採用されていたとしたら非常に面白かった。
ゴジラは無いけどエヴァはある世界という考えが成り立つ。

庵野監督はやっぱりあの世界にいてアニメを作っている。

DAICON 3オープニングアニメは作られるがゴジラは出てこない(たぶんガメラも)。
『八岐之大蛇の逆襲』は出典が古事記であり、普通に作られたかもしれない。
こっちの世界と同じくガイナックスが設立され新世紀エヴァンゲリオンは社会現象化している。
「ゴジラは使徒だ!」
あっちの世界ではゴジラを知らない庵野監督が実物のゴジラを初めて目にする......
などと、ベタでメタな妄想が膨らんでいく。




見たことがないゴジラ巨大不明生物

劇中、襲われる人はみんなゴジラ(もしくは怪獣)に対する予備知識が無い人たち。

逆に、私たちはみんなゴジラの造形くらいは知った上で映画を観ている。

という、両者には決定的な違いがある。


しかし最初に上陸した時の姿。
「ラブカ」もしくは「蒲田くん」とも称される第二形態を見た時、
自分はあれを見てゴジラだとは分らなかった。

もしここで見慣れた造形のゴジラが登場したならば、
「あ、ゴジラ出てきた。人々が慌てふためき逃げているな」
という醒めた印象で終わっていたところ。

ところがあの正体不明の怪物が暴れる姿を見せられると、
「なんだか解らないけど巨大な、目つきがヤバイ奴が街を破壊している! 」
という恐怖感がドクドクと伝わってきた。


ゴジラとの最初の遭遇が人々にもたらす衝撃。

ゴジラを見慣れない姿で登場させる事で、観客にも同様の衝撃を与えるという演出。

それを、つかみの部分として成功させているのは見事だ。




シン・ゴジラ Blu-ray特別版3枚組


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